沖縄県立八重山高校
【本番直前インタビュー】笑って、笑って、また笑って。
無事2日目も終了し、いよいよ上演校2校を残すのみとなった夏の全国大会。今回は、本番を明日に控え、最後の稽古に励む八重山高校さんに特別インタビューをさせていただきました。日本最南端(!)の演劇部は、初めて掴んだ全国の舞台でどんな新風を巻き起こしてくれるのか。部を代表して、演出の大嶺綾楓さんに意気込みを聞いてみました!
(Text&Photo by Yoshiaki Yokogawa)
八重山らしさ、自分たちらしさ全開の60分を。
――発足3年目で初の全国大会。まずは八重山高校演劇部を自己紹介すると、どんな部ですか?
みんなカラーがバラバラで、似ている人は誰もいない、色とりどりのカラフルな部。それが、八重山高校演劇部です。私たちの故郷・八重山諸島は、石垣島と西表島をはじめとする、合計32の小さな島々から成り立っています。自然豊かで、ゆったりとした時間が流れるこの島で暮らす人たちは、みんな伸び伸びとしていて大らか。私たち八重山高校演劇部も、そんな伸び伸びとした部員たちが集まった元気なクラブです。
――今回の『0(ラブ) ~ここがわったーぬ愛島(アイランド)~』は、文化祭の出し物を決める生徒たちのドタバタを描いた学園コメディ。創作のきっかけは何だったんですか?
今までうちの部ではずっと既成の台本をやっていて、創作にチャレンジしたことはなかったんです。で、去年、夏季大会が終わって、秋の県大会に向けて何をやろうかとみんなで他愛のないお喋りをしている中で出てきたのが、ヒーローもので、島の名物とかをいろいろ出してみたいねというアイデアでした。そこから先生とも話しているうちに「脚本書いたら?」ということになって、みんなのいろんなアイデアをもとに、卒業した宮古先輩が書いてくれたのが、この『0(ラブ) ~ここがわったーぬ愛島(アイランド)~』。本当にただの雑談から生まれたお話なんです(笑)。
――タイトルの通り、故郷・八重山諸島への想いがつまった作品という感じですね。
いや、でもみんな八重山の田舎な感じは好きじゃないんです(笑)。不便だし、早く出ていきたいなと思ってる。でも、そんなところも含めて好きだっていうのも、本音なんです。八重山あっての自分たち。この八重山で暮らして、お芝居ができたから、全国という大舞台にも立つことができるんだって思っています。
最後の60分は、自分も観客になって楽しみたい。
――お芝居をつくる上で苦労した点はありますか?
みんな個性が強いので(笑)、それをどう潰し合わずに成立させるかというところは大変でしたね。あと、もともと八重山高校演劇部はコメディばっかりをやってきたクラブなんです。静かなお芝居というのが苦手で…(笑)。だからどうやったらお客様に楽しんでもらえるかということには、とことんこだわりました。
――今回、すでに10校の上演が終わっていますが、傾向としてメッセージ性の強いものや重たいお芝居が続いているような気がします。そういう意味では、かなり異色の一作になりそうですね。
はい! だから今からお客様の反応が早く見たくて仕方ないんです。難しく考えるような内容ではないので、もちろん真剣には見てほしいですが、あまり気構えせず、素直に正直に楽しんでほしいなと思います。
――大嶺さんは現在3年生。この公演をもって引退を迎えます。高校3年間を振り返ってみて、演劇部とは自分にとってどんな存在でしたか?
どんなに疲れて体がボロボロでも、演劇部になると心が元気になれた。練習は周りからは体育会系って言われるくらいにキツいんですけど(笑)、それでもみんなと一緒なら楽しくて仕方なかった。どんなことでもみんなとならできると思えた。本当に出会えてよかったと思える存在です。
――大嶺さんにとっては、明日が高校演劇生としてはラストの1時間。どんな1時間を過ごしたいですか?
本番は音響をやっているんですけど、きっかけはミスなく集中して頑張りますが、それ以外のところは一人のお客様として楽しみたいです。自分のところのお芝居だけど、思い切り笑って過ごしたい。みんなとつくる最後の舞台を思う存分に楽しんできます!
――ありがとうございました! 笑いいっぱいの八重山ワールド、楽しみにしています。