男女逆転劇が全国を制す!久留米大学附設『女子高生』が最優秀賞を戴冠!

3日間に渡る全国大会も無事に閉幕!

注目の最優秀賞は、九州ブロック代表の久留米大学附設高校の『女子高生』が獲得しました。通算4度目の全国出場となった同校ですが、最優秀賞は今回が初めて。ここでは、高校演劇を愛するすべての皆様に向けて、『女子高生』に対する講評の模様をお届けします。

(Text&Photo by Yoshiaki Yokogawa)

多くの観客に愛された男女逆転学園グラフィティ。

全国5チャーミングで個性豊かな男子JKが全国を制した――7月28日より3日間にわたって開催された第60回全国高等学校演劇大会。全12校の出場校の頂点に立ったのは、九州ブロック代表・久留米大学附設高等学校による『女子高生』だった。同校の全国最優秀賞は史上初。また九州勢の全国制覇は、第44回鳥取大会(1998年)の池田高校以来、16年ぶり3回目の快挙。「女の生き方」「男の生き方」という使い古されたはずの題材が、男女を入れ替えて演じることにより新鮮な発見をもたらし、審査員たちの心を掴んだ。

講評審査員である朝日新聞読書推進事務局長の今村修氏は、同作品を「センスが良く、クレバーな演劇」と表現。男女入替という設定に加え、「古典であるシェイクスピアを現代の高校生活に置き換え、さらに自分たちの学校のことまでバロディ化する大胆さに感動した」とその視点の絶妙さと作り手としての潔さと勇気に賛辞を送った。さらに、「男子が演じる女子が可愛らしかった」と相好を崩し、「女子が演じる唯一の男子も宝塚的な男子でもなくマッチョでもなく、クッキーを焼くのが好きという微妙なところを狙った人物造形だった」と、愛すべきキャラクターたちの秀逸さを解説。「性を取り変えることで、“女子は結婚して家庭に入って”とか、“男子は就職して家族を養わないと”という普通にやったら何でもない台詞がものすごく新鮮に聞こえる。ジェンダー論に一歩踏み込む可能性まで秘めた、企みに富んだ台本」と同作の持つ本質的な魅力に切り込んだ。

全国6同じく講評審査員である新城東高校非常勤講師の後藤幸子氏も「ものすごく楽しくて、個人的に大好きな芝居。男子が女子を演じる違和感が許せてしまった。上手く騙されてしまった」と絶賛。敢えて客席に後ろを向けるかたちで作られた教室の舞台設定や、女子生徒たちが窓から荒木を見る場面で役者たちの立ち位置が重なっていた点を挙げ、「普段練習でダメと言われるところを逆手にとってオシャレな見せ方を示した。全部逆転の発想が素晴らしかった」と、男女逆転にちなんだ演出の上手さに注目した。

一方で、今村氏は、最終的に荒木が退部したことによって台本を書き直すことになったラストの展開について「急遽台本を書き直し、学校にひと泡吹かせるっていう部分をちらっとでも見せてほしかった」と指摘。また、後藤氏からも「先生の妊娠が何にもつながらない。ラストシーンはちょっといらなかった」と台本上の改善点が挙げられた。最優秀校である同校は、8月末、国立劇場大劇場で開かれる優秀校東京公演への出場が決まっている。この最後の舞台で、同校がこれらの改善点をどう受け止めてくるかにも注目したい。
 

なお、各賞の結果は以下の通り。
 

●文部科学大臣賞(最優秀賞)

久留米大学附設高等学校(九州ブロック代表)

『女子高生』
 

●文化庁長官賞(優秀賞)

青森県立青森中央高等学校(東北ブロック代表)

『翔べ!原子力ロボむつ』

北海道大麻高等学校(北海道ブロック代表)

『教室裁判』

滝川第二高等学校(近畿ブロック代表)

『志望理由書』
 

●優良賞

岐阜県立池田高等学校(中部日本ブロック代表)

『麒麟児 ~killing G~』

長野県松川高等学校(関東ブロック代表)

『ちいさいたね』

島根県立出雲高等学校(中国ブロック代表)

『見上げてごらん夜の☆を』

愛媛県立松山東高等学校(四国ブロック代表)

『夕暮れに子犬を拾う』

香川県立観音寺第一高等学校(四国ブロック代表)

『問題の無い私たち』

山梨県立甲府南高等学校(関東ブロック代表)

『マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー』

茨城県立水海道第一高等学校(関東ブロック代表)

『お好みぃにけ~しょん』

群馬県立桐生高等学校(関東ブロック代表)

『通勤電車のドア越しに』
 

※全12校の結果。同一賞については上演順。
 

●創作脚本賞  いぐりんとその仲間達(滝川第二高等学校)
 

●舞台美術賞  岐阜県立池田高等学校
 

●内木文英賞(特別賞)  茨城県立水海道第一高等学校
 

なお、久留米大学附設高校、青森中央高校、北海道大麻高校、滝川第二高校の4校は、8月30日・31日に国立劇場大劇場で開催される全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演への出場が決定。

また、本大会の模様は、9月6日(土)15時よりNHK-Eテレにて放送を予定している。

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